遺言書とは、自分が死んだあと財産を誰に?

どのように分配するか?などを書面にしたものです。

目次

自筆証書遺言

自筆証書遺言(じひつしょうしょゆいごん)とは、自分で書いて作成する遺言書です。「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」と、民法第968条にあります。

自分で文字が書けて、押印ができれば作成できるので、多くの人が作れる最も簡単な遺言です。ただし、遺言能力は必要で、15歳以上という要件があります。死後、勝手に封を開けてはダメで家庭裁判所の「検認」が必要になります。

自筆証書遺言のポイント

・自分が直筆で書く(代筆、PCなどでの作成はNG。法改正で、財産目録は自筆でなくても可能になりました。)
・録音や映像はNG
・いつ書かれたのか明記
・署名と押印
・夫婦でなど共同遺言はNG

押印は実印でなくても認印や拇印(ぼいん)でもOK
氏名に関しても、同一性を示せれば、芸名やペンネームでもOK

自筆証書遺言のメリット

15歳以上なら自筆できて、印鑑があれば作成可能
手続きがないので費用がかからない
いつでも書き直し、修正できる

自筆証書遺言のデメリット

書き方を間違えると無効になる
家庭裁判所での『検認』手続が必要
検認をせずに開封すると5万円の罰則あり
自筆できなければ利用できない
なくしたり、偽造の可能性

公正証書遺言

公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)は、公証人が遺言者から遺言内容を聴いて作成する形式です。2人以上の証人の立会いが必要になります。

公正証書遺言のポイント

公正証書遺言を作成するには、遺言者本人であることを証明するため実印と印鑑証明書を用意し、2人以上の証人と一緒に公証役場に行くことになります。公証人に遺言の内容を伝えて作成してもらいます。

公正証書遺言のメリット

・無効になりにくい
・どれを誰に!など内容が正確になる
・どう書くか?迷わない
・検認の必要がない
・改ざんなどができない

公正証書遺言のデメリット

・時間がかかる
・費用がかかる
・証人2名の立会いが必要
・内容など秘密にできない

公正証書遺言作成に必要な書類

・遺言者本人の印鑑証明書と実印
・遺言者と相続人との続柄がわかる戸籍謄本
・相続人以外の人に遺贈する場合、その人の住民票
・不動産が含まれる場合、登記簿謄本や固定資産評価証明など。

秘密証書遺言

秘密証書遺言(ひみつしょうしょゆいごん)は、遺言の内容を誰に知られたくない場合の遺言方法で、遺言者が自分で書いた遺言書を公正役場に持って行き、遺言書の存在を保証してもらう形式です。

秘密証書遺言のメリット

・本人のものである事を証明
・遺言の内容を秘密にできる

秘密証書遺言のデメリット

・遺言内容を確認できないので無効の可能性
・家庭裁判所で検認手続が必要
・手数料で11,000円がかかる

特別方式の遺言

これまで見てきた3種類の遺言書は「普通方式の遺言書」と呼ばれていますが、特別方式の遺言書は、緊急時や船の上など、特殊な状態の人が書く遺言書です。(民法第983条)

特別方式の遺言は4種類

・一般危急時遺言
・難船危急時遺言
・一般隔絶地遺言
・船舶隔絶地遺言

作成後20日以内に家庭裁判所に届け出ることになっています。
特別方式の遺言書はあくまで、やむを得ない場合の方式です。

一般危急時遺言

疾病などで死亡の危機に迫られている場合
3名以上の証人の立会いで遺言をすることができます。
通常、死期が迫っていて自ら署名押印ができない場合。

難船危急時遺言

遭難中の船舶の中で死亡の危機に迫られた場合
証人2名以上の立会いで口頭で遺言をすることができます。
遺言者の自署や書面作成は不要ですが、証人による書面作成と署名・押印が必要。

一般隔絶地遺言

伝染病などで交通や外界との接触を断たれた場所にいる人が、
警察官1名と証人1名以上の立会いで遺言をすることができます。
この場合、遺言者の自署及び書面作成と立会人による署名・押印が必要。

船舶隔絶地遺言

船舶中で外界から隔絶されている場合
船舶関係者1名及び証人2名以上の立会いで遺言をすることができます。
この場合、遺言者の自署及び書面作成と立会人による署名・押印が必要です。